書名：鶉籠

著者：夏目漱石

発行年：明治40年1月1日（1907年）2月再販　

発行所：春陽堂

判型：菊版　H225×153×D41mm 

製本仕様：紙装（木版）、くるみ製本、2本の支持体入りの抜き綴じ

装幀：橋口五葉

所蔵：個人蔵

保存状態：本文の綴じの緩み、シミ多数、全体茶色化、背表紙中央部分縦割れ

作業内容：湿気臭さがあるので曝涼を試みてから、ドライクリーニング。

見返しのノド側をはずして、本文と分離、背の膠をできるだけとってから本文の糸を外して折丁に分解する。

綴じ穴が大きく開いているので、各折の内側の一枚の綴じ穴を補修する。

折りクセがついている箇所も和紙で補修をする。

本文に3本の麻紐を支持体として渡し、細い麻糸で本かがりで綴じる。

背に和紙を貼り、クータをつけて本文を整える。

表紙裏の部分、表紙の角や窪みを染めた和紙で補修、アクリルメディウムで補強する。

本体と表紙を接続し、見返しを貼り戻す。

本のサイズを計測して、布装シェルケースを作成する。

修復前

修復後

使用材料：楮和紙各種、寒冷紗、クロス、人口スウェード、中性ボード、中性紙、生麩糊、ボンド、アクリルメディウム

修復・記録：藤井敬子